賃貸不動産経営管理士 過去問分析-INDEX-

連帯保証と限度額設定

賃貸借契約の法務における連帯保証と極度額設定は、令和2年の民法改正以降、試験でも実務でも最重要視されている論点です。過去問分析からは、個人の保証人と法人の保証人の扱いの違いや、極度額を定めなかった場合の効力が繰り返し問われていることが分かります。

1. 連帯保証の性質と補充性の不在

連帯保証は、通常の保証よりも保証人の責任が重く、主たる債務者と同等の義務を負います。

  • 抗弁権の不在: 連帯保証人には「催告の抗弁権」および「検索の抗弁権」が認められません。したがって、貸主は借主へ督促することなく、いきなり連帯保証人に全額を請求することが可能です。
  • 分別の利益の不在: 保証人が複数いる場合でも、連帯保証人は頭数で割った金額ではなく、債務の全額について支払義務を負います。
  • 随伴性: 賃貸人の地位が第三者に移転した場合、保証債務もこれに従って移転し、保証人は新貸主に対して保証債務を負うことになります。

2. 極度額の設定(個人根保証契約)

賃貸借契約の保証は、将来発生する不特定の債務を保証する「根保証契約」に該当します。

  • 個人の場合の義務化: 個人(自然人)「極度額(保証する金額の上限)」を定めなければ、保証契約は無効となります。
  • 合意の方法: 極度額の合意は必ず書面または電磁的記録で行う必要があり、口頭での合意は効力を生じません。
  • 法人の場合: 保証人が法人である場合は、極度額を定める必要はなく、書面等に記載がなくても契約は有効です。

3. 保証債務の範囲と情報提供義務

  • 保証の範囲: 賃料だけでなく、利息、違約金、損害賠償、さらには賃貸借契約解除後の原状回復義務や、明渡しが遅滞したことによる賃料相当損害金も保証の範囲に含まれます。
  • 情報提供義務: 保証人が借主の委託を受けている場合、保証人から請求があれば、貸主は遅滞なく債務の履行状況(滞納の有無や残額など)の情報を提供しなければなりません。これを個人情報保護を理由に拒むことはできません。
  • 事業用契約の特例: 借主が事業のために債務を負担する場合、借主は保証人(個人)に対し、自らの財務状況や収支について情報提供する義務があります。

4. 元本の確定事由

個人根保証契約において、保証人の責任がそれ以上膨らまないよう対象債務が固定される「元本確定」の事由が定められています。

  • 借主または保証人が死亡したとき。
  • 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
  • 貸主が保証人の財産に対し、強制執行等を申し立てたとき。